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スシローの新規上場(IPO)は買いか?株主優待の導入も明言!

「スシローグローバルホールディングス(3563)」は、回転寿司で業界首位の「あきんどスシロー」を傘下に持ちます。
前々から再上場の噂があり、2月22日に正式に取締役会決議されました。

気になる株価ですが、3月21日に発表の売出価格は3,600円です
想定価格の上限3,900円になると思っていましたが、人気面で予想外に苦戦しているのかもしれません。
新規上場する市場については、東証一部か二部とされていますが、想定時価総額1千億円超ですので、東証一部で間違いないと思います。

今回は、想定価格をベースに、スシローグローバルホールディングスの新規上場は買いなのか、検証してみました。

■ 新規上場に向けたスケジュールは?

新規上場に向けたスケジュールとしては、次のとおりとなります。
新規上場(IPO)で買おうと思ったら、まずは3月14日(火)からの抽選に申し込む必要があります。

・売出価格の仮条件決定日:【平成29年3月13日(月)】
・抽選申込期間:【平成29年3月14日(火)~3月17日(金)】
・売出価格決定・抽選結果発表日:【平成29年3月21日(火)】
・新規上場日:【平成29年3月30日(木)】

■ 株式市場にでる株式数が多いのが特徴!

スシローの前身は大阪北摂を地盤としていた「株式会社すし太郎」です。
実は、2003年9月より東証二部に上場していましたが、ユニゾンキャピタルのTOBにより、2009年に上場廃止しています。

その後、英投資ファンド・ペルミアによって事業の再構築が進められ、再度の新規上場に至ったのです。
今回の新規上場では、筆頭株主であるペルミアが持ち株の大半を売り出すため、公開比率が約8割と高いのが特徴的です。
多くのスシロー株が市場に出回るため、新規上場後の初値は、期待しずらいかもしれません。

また、これは、同じ外食大手で、外資ファンドに複数回に分けて売り出された「すかいらーく株」とは違う点となります。
すかいらーく」は、売出価格の維持のため、上場後に株主優待の大幅拡充がありましたが、スシローの場合は、どうなることでしょうか。

 

■ 業績面はどうなの?


★これまでの業績の推移は?
スシローの業績面は、ここ数年は増収増益が続いているように見えます。

ただし、2015年9月期から、国際会計基準IFRSを採用しているので、主にのれん償却分が利益に上乗せされているので要注意です。

・2010.9期 売上高819億円 営業利益25億円
・2011.9期 売上高998億円 営業利益44億円
・2012.9期 売上高1,113億円 営業利益64億円
・2014.9期 売上高1,259億円 営業利益44億円
・2015.9期 売上高1,361億円 営業利益68億円 純利益38億円
・2016.9期 売上高1,477億円 営業利益75億円 純利益31億円
・2017.9期予想 売上高1,596億円 営業利益89億円 純利益58億円
※2013.9期は変則決算のため省略

 

スシローは、持ち株会社の設立や、会計基準の変更などにより、業績の実態が見えにくい状況にあります。
今回の新規上場に向けて、スシローより様々な情報が公開されています。
そのなかに、もし、持ち株会社化や会計基準の変更がなかった場合の経営指標もあります。

国際会計基準IFRSの利益額と大きく違うのは、やはり、のれん償却費の扱いが違うことが大きな要因です。
2014.9月期に約35億円計上した、のれん償却費を計上しなくてよくなったので、見た目の利益は大きく底上げされています。
どちらの会計基準の数字が正しいということはないのですが、見方によって利益額が違うことは頭に入れておきたいです。


★今後の業績見通しは?
スシローの中期経営計画では、2019.3月期まで年間約30~40店の新規出店で、平均7%の成長を目指すそうです。
外食銘柄が成長できるかは、「既存店売上高×新規出店」で決まります。

スシローの既存店売上は、過去5年以上にわたりプラス成長を続けています。
また、最近は携帯予約の影響もあるのか以前より待合は空いている気もしますが、それでもピークタイムには多くの方が待っている状況にあります。

また、新規出店についてですが、現在の店舗数は約450店舗です。
外食産業は、一般的に1つの業態では1,000店舗が限度と言われますが、そう考えると、まだ出店余地があると思われます。

一方で、懸念材料としては、回転寿司業界の厳しい競争環境です。
業界全体としては成長が続いているものの、逆に、その魅力のために、ゼンショー系はま寿司の積極出店などによりレッドオーシャン化しています。
今後もスシローが成長するには、この競争に打ち勝っていく必要があります。

■ 財務面はどうなの?


財務面では、上場に向けた資本政策として、借入による資金で、自己株式約250億円を取得・消却しています。
そのことによって、自己資本比率は約20%まで低下しています。
ただし、キャッシュフローは安定して黒字が続いているのは安心材料です。

一方、資産1,200億円のうち、のれん約300億円、無形資産(ブランド)約545億円を占めます。
これらは、将来の収益力が見込めないとなった時点で減損処理が必要になるリスクがあります。

株主優待制度の導入を明言!

スシローは、上場の際の目論見書で、株主優待制度の導入を明言しています。

我が家は、月1回程度の頻度でスシローを利用するので、ちょっと興味がありますが、もう少し優待利回りが高い方が良かったな~。
まだ上場前だけど、今後の株主優待の拡充に期待したいところです。
株主優待内容
■100株以上で、食事券1500円相当
■3月・9月 権利確定銘柄
■最低投資額 360,000円(100株・平成29年3月21日決定の売出価格)


■ スシローの新規上場は買いなのか?

平成29年3月21日決定の売出価格は3,600円です。
また、2017.9期の1株あたりの利益は214円35銭、純資産は962円79銭、配当金未定の見込みです。

これらの条件を前提にすると、想定される投資指標は次のとおりです。
ちなみに、配当金は現時点では未定ですが、配当性向40%を目指すそうで、その場合は配当利回り約2%になります。
★PER 16.79
★PBR 3.73
配当利回り 未定
自己資本比率 20.3%


ちなみに、回転寿司大手3社の株価や投資指標〔2017.2.24時点〕は次のとおりとなります。
くらコーポレーション (2695)
・株価 4,575円
・PER 20.15
・PBR 2.99
配当利回り 0.44%
株主優待 食事券1500円分(年1回)
カッパ・クリエイト (7421)
・株価 1,309円
・PER ー
・PBR 3.74
配当利回り 0%
株主優待 株主優待カード3千ポイント(年2回)

株主優待や配当金の想定からは、約3%未満の利回りなので、インカムゲイン目的の投資では、大きな魅力はありません。
もっとも、今後の株主優待の拡充があれば、評価は変わるかも。

一方、スシローは、成熟銘柄といったイメージが強いものの、既存店売上と出店余地をみると、思った以上に成長余地はありそうです。
また、仕入や店内運営における効率性は、大きな強みではあると思います。

ただ、成長力の評価は非常に難しく、今後も、回転寿司業界の厳しい競争環境に打ち勝っていけるかは正直分かりません。
そして、売出価格3,600円を超えて上場後に株価が上がっていくためには、株式市場で成長株として評価される必要がありそうです。

今回の新規上場では、売出規模が大きく、需給関係もプラス材料にはならないので、個人的には、しばらく様子見をしたいです。
新規上場後しばらくは、株価が大きく変動しやすいので、じっくり腰を据えて、タイミングを見極めていこうと思います。